ニキビは保険診療で治療できます。
ニキビは、ニキビ専用化粧品や美容皮膚科など、いわゆる自費診療でしか治療できないと誤解されていらっしゃる患者様も多く見受けられますが、実は皮膚科で健康保険の適応可能な「病気」です。
大阪でニキビ治療の保険診療なら、野田阪神駅前いまい皮フ科までお気軽にご相談ください。
※当院では難治性ニキビに対するイソトレチノイン内服やニキビ跡(ニキビ痕)の治療(IPL)も行ってはいますが、残念ながら保険適用外です。このページでは保険診療について解説しています。
ニキビの原因
おもなニキビの種類と進行
ニキビの経過は次の通りです。
- (1)皮脂分泌が過剰になります。
- (2)すると、顔や上背部など、皮膚の脂が出やすい部分の毛穴が詰まります。
- (3)皮脂を栄養とするアクネ菌(Cutibacterium acnes)が毛穴で増加し、炎症を起こします。
- (4)皮膚組織が破壊され、ニキビ痕になったり、治っても炎症が残ります。
皮脂分泌が過剰になる原因として、思春期のホルモンバランスの変化や、生活習慣・ストレス・肌への刺激などがありますが、最近ではマスクによるニキビの患者様も多くご来院されます。
詳しい原因についてはニキビ(尋常性ざ瘡)とは?をご覧ください。
皮膚科で使用される塗り薬について
昔はニキビには抗生物質しか処方する薬剤がありませんでしたが、今では保険診療でもニキビが出ない肌へ改善するための治療薬が処方可能となっています。
基本的な治療方針として、赤ニキビが落ち着いてきたら白ニキビの治療に移っていきます。つまり、治療期間中に処方薬が何度か変更になっていくことがあります。
-
①過酸化ベンゾイル
赤ニキビに対して、アクネ菌を殺菌することで効果を発揮します。過酸化ベンゾイルに対する耐性菌は現在のところ発見されておらず、長期使用しても耐性菌を作らず安心です。白ニキビに対しても、角質を剥がす作用(いわゆるケミカルピーリング作用)があることから有効であり、日本人の治験データでは3ヶ月間で面皰(白ニキビ・黒ニキビ)が半減します。
皮膚に刺激がある副作用があるため、先に保湿剤を塗った上で、小さい範囲から塗りはじめるのが無難です。1ヶ月程度で刺激には慣れてきます。過酸化ベンゾイルの塗る量ですが、顔全体で0.5gですので、1ヶ月で1本使い切るくらいのペースになります。②アダパレン
正しい毛穴を持つお肌ができるように、毛穴の細胞の正しい角化を導く作用のある薬剤です。毛穴の入り口が詰まってしまうことを防ぐことにより、新しい白ニキビの形成を予防します。副作用としては、妊娠をしている可能性のある方には使用できません。皮膚の乾燥・かゆみなどが出やすい薬剤ですが、2週間程度で塗りなれると改善してきます。アダパレンをいつまで塗るかですが、ニキビができにくい肌質に改善するには、1ヶ月に1本使い切るくらいのペースで、数ヶ月塗り続けることが望ましいです。
③過酸化ベンゾイル/アダパレン配合ゲル
症状のひどい方に向いている薬剤です。具体的には、赤ニキビが全顔で12個(中等症)以上ある場合に使用します。上記の過酸化ベンゾイルとアダパレンの両方が配合されている薬剤ですので、個々の単剤を使用するよりも強い効果が期待できる反面、刺激などの副作用も個々の単剤よりも多くなってしまいます。そこで、個々の単剤で効果が不十分であった場合に、この両方が配合されているゲルに変更するという使い方をします。
④抗菌剤外用
赤ニキビの治療法です。アクネ菌を殺菌するため、クリンダマイシン、ナジフロキサシン、オゼノキサシンといった抗菌剤の塗り薬があります。どれも効果があるという高いエビデンスがあります。投与期間の目安は2~3ヶ月です。
なお、クリンダマイシン/過酸化ベンゾイル配合ゲルという、高濃度過酸化ベンゾイルにクリンダマイシンという抗菌剤が配合されているゲルもあります。配合されている過酸化ベンゾイルの濃度が高い(3%)ので刺激などに注意が必要です。投与の目安は3ヶ月です。赤ニキビが治ってきたら、通常濃度の過酸化ベンゾイル単剤またはアダパレンに切り替えていくことになります。
皮膚科で使用される飲み薬について
-
①抗菌薬内服
赤ニキビに対して、アクネ菌を殺すだけではなくニキビの炎症そのものを抑制する効果のある薬剤です。ドキシサイクリン、ミノサイクリン、ロキシスロマイシンは赤ニキビに有効であるという良質なエビデンスのある治療法です。ただし光線過敏や下痢などの副作用もあります。
②漢方薬内服
赤ニキビと白ニキビ(白色面皰・黒色面皰)で正しい漢方薬が違います。赤ニキビには荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)、清上防風湯、十味敗毒湯を用います。一方、白ニキビにエビデンスがある漢方薬は、実は荊芥連翹湯だけです。
ニキビの治療費用について
当院で処方する薬は、健康保険が適応されますので、診察料・薬剤代は3割負担になります。
1回の受診でおおよそ1,000円~3,000円程度です。
関連する症状の皮膚病一覧
執筆者:
今井康友(医学博士、皮膚科専門医、アレルギー専門医)