酒さ(酒さ様皮膚炎、口囲皮膚炎)とは?
酒さは近年増加している疾患です。主に両頬や鼻の脂腺(顔の脂を出す毛穴の部分)に慢性に炎症が起こることにより、軽快増悪を繰り返す顔の火照り、血管の拡張、赤ら顔、ニキビ(ざ瘡)、赤いブツブツ(膿疱・丘疹)など多彩な症状が慢性的に続きます。治療によってブツブツは速やかに改善しますが、赤みや火照りは減少するのに時間がかかります。
福島区、此花区で酒さ(酒さ様皮膚炎、口囲皮膚炎)にお悩みの方は、野田阪神駅前いまい皮フ科小児皮フ科アレルギー科までお気軽にご相談ください。当院はたいへん多くの酒さの患者さんを診察させていただいております。
酒さ(酒さ様皮膚炎、口囲皮膚炎)の原因
様々な物理的ならびに精神的な刺激で悪化することや、ざ瘡、脂漏性皮膚炎、花粉皮膚炎といったアレルギー疾患と混在することが多いことから、多因子疾患であると考えられています。悪化要因であるアレルギーの関与に関しては採血(血液検査)を行います。
当院における治療
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生活指導
● 温度刺激を避ける
冷房から暖房への移動、熱すぎる風呂といった温度差
● ストレスを避ける
不安、睡眠不足、激しい運動
● 日焼けを避ける
肌に優しい、酒さ用の日焼け止めクリームの使用
● 刺激食品を避ける
辛い食べ物、コーヒーなどのカフェイン、お酒
● 過剰保湿を避ける
当院では酒さ様皮膚炎に保湿は推奨していません。シンプルなスキンケアにしてください。ステロイド外用薬、ヘパリン類似物質、保湿力の高すぎる化粧水・乳液といった、患者様によっては酒さ(酒さ様皮膚炎)を悪化させる外用の中止・漸減を検討しましょう。「肌断食」が有効ですが、急に外用薬を中止した場合、数週間は酒さが急激に悪化し、膿疱(うみ)が増えることがあります。特にステロイドで誘発された酒さ様皮膚炎の場合は、ステロイド外用薬は最終的には中止が必要ですが、中止によって症状が一時的に増悪するので、ゆっくり中止することが必要です。なお、純粋な酒さの患者様の中には保湿が必要な方もおられますので、酒さ用の保湿剤もご用意しています。
● 過剰洗顔・化粧を避ける
酒さ様皮膚炎の患者さんは、顔を洗いすぎて乾燥させたため過剰保湿になった方が多いです。酒さは、擦る刺激で悪化しますので、皮疹部位の化粧はしない(皮疹のない眼周囲だけお化粧する)といった工夫や、化粧がお仕事で必要な方には、酒さ用のクレンジング(洗顔)や、パウダーファンデーションをご用意しています。
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保険診療
● 内服治療
抗生物質、漢方薬などがあります。合併する症状によって異なる処方となります。副作用予防のため血液検査が必要です。
● 外用治療
0.75%メトロニダゾールゲル、親水クリームなどがあります。症状によって異なる処方となります。
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自費診療
(目安:2,200円~18,700円/回)
酒さの治療を他院の保険診療で長期間行っている、さらに上記の生活指導も頑張っているのに改善しないということで、当院を受診されるケースも多いです。そのような場合は自費診療を選択しますが、いずれも妊娠中、授乳中の方は不可です(=保険診療で認可されない理由はおそらくこの点かと思われます)。日本では保険適用外ですが、海外では広く行われている治療法です。
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イベルメクチンクリーム
特に膿疱に有効です。約2週間で効果が発現します。1日1回塗布で有効です。
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イソトレチノイン内服
ブツブツが多い酒さ、3型(鼻瘤型)の場合、脂腺増殖症に特に有用です。脂性肌の方に有効ですが、乾燥肌の酒さの方には使えません。
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1%メトロニダゾールクリーム
他ブランドの0.75%メトロニダゾールゲルで接触皮膚炎をおこす方でも外用可能なことがあります。
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IPL: Intense Pulsed Light(セレックV)
拡張した血管を物理的に縮小させる光の治療(IPL)です。色素レーザーとは異なり治療後のダウンタイムがありません。最もエビデンスの高い治療手段であり、酒さ治療の中心となるものです。
症例写真(酒さ様皮膚炎)
他院処方のステロイド外用剤で悪化した症例(年齢非公開)
- 初診時
- 2週後
治療名 | 1%メトロニダゾールクリーム |
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治療内容 | 外用剤 |
承認状況 | 承認(保険適応外使用) |
他の承認機器の有無 | なし |
平均的な通院回数 | 5~10回 |
平均的な費用 | 4,400円~8,800円(税込) |
副作用・リスク | 痛み、皮膚炎、痂皮、水疱、色素沈着 |
入手経路 | 国内正規販売代理店を経由して医師が入手 |
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執筆者:
今井康友(医学博士、皮膚科専門医、アレルギー専門医)