掌蹠膿疱症
(しょうせきのうほうしょう) とは?
当院では、掌蹠膿疱症の治療には特に力を入れています。
掌蹠膿疱症とは、手のひら、足の裏に膿がたまったプツプツ(膿疱)が繰り返しできる病気です。
- (1)まず、小さい水ぶくれ(水疱)が手のひら、足の裏にできます。
- (2)これが黄色いプツプツ(膿疱)に変わってきます。
- (3)やがて皮膚が剥がれて、ひび割れたり、カサブタ(痂皮)ができたりして、皮膚が分厚くなります(角質増殖)。
- (4)最後には上記が全部混じった状態となり、繰り返します。
水虫(足白癬)や汗疱(汗による湿疹)と区別が難しいため、皮膚科の受診をお勧めします。皮膚科医はダーモスコピーという特殊な虫眼鏡を使って、水疱の中に膿疱があったり、膿疱になりつつある水疱を見つけたり、他の病気では見られない症状を探すことで、掌蹠膿疱症を診断します。手足のブツブツが治らない方は、お気軽に受診ください。野田阪神駅前いまい皮フ科小児皮フ科アレルギー科では、皮膚科専門医、アレルギー専門医の院長が掌蹠膿疱症の治療を行います。福島区、此花区で掌蹠膿疱症にお悩みの方はお気軽にご相談ください。
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)の原因
掌蹠膿疱症は、原因があり、根治が望める疾患です。原因として、体内のどこかにバイ菌がいるせいで起こると言われています。バイ菌が潜んでいる場所は喉、鼻、歯(歯槽膿漏、歯の根元の膿(根尖性歯周炎)、金属アレルギー)、甲状腺異常、胆石などが指摘されています。タバコなどが原因で、喉や鼻のバイ菌が増えて掌蹠膿疱症が誘発されると考えられています。
掌蹠膿疱症の検査
掌蹠膿疱症は検査がたくさん必要です。さらに、皮膚科だけでは無く、リウマチ内科・歯科・耳鼻科との連携が大切です。
1
血液検査
掌蹠膿疱症は関節が痛くなることがあります。掌蹠膿疱症性骨関節炎(pustulotic arthro-osteitis: PAO)と呼びます。この場合、関節リウマチとの鑑別が必要ですので、血液検査が必要です。関節炎が強い場合、リウマチ内科の受診が必要です。
2
パッチテスト
まれに金属アレルギーが関与していることがあります。実際に金属を皮膚に貼ってアレルギーがないか調べます。アレルギーのある金属を含む食品の制限が有効なことがあります。
3
歯科との連携
歯や歯の根っこにバイ菌が増えていないか、歯周病がないか、歯科に定期受診されていない方は歯科受診が必要です。差し歯の金属にアレルギーがある方は、歯の金属の入れ替えが有効なことがあります。
4
耳鼻科との連携
副鼻腔炎などの炎症を検査します。なお、扁桃炎があってもなくても、耳鼻科で扁桃摘出術を行うと掌蹠膿疱症は改善します。手術に抵抗のある患者さんの場合、上咽頭擦過療法(Epipharyngeal Abrasive Therapy: EAT)が掌蹠膿疱症に有効です。しかし、掌蹠膿疱症が耳鼻科と関連していることを知っている耳鼻科医はごくわずかなのが現状です。
当院における治療
歯や喉の感染病巣の治療と同時に、皮膚科では掌蹠膿疱症の症状に直接アプローチする治療を行っていきます。当院では光線療法の機械が充実しています。
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塗り薬
炎症を抑える薬や活性化ビタミンD3だけではなく、手足の乾燥が強くなる患者さんでは保湿剤を何度も塗るのが有効です。保湿剤も保険適用になります。
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光線(紫外線)療法
皮膚に紫外線を当てると、手足のブツブツを作っている白血球が消え、皮膚症状が改善します。当院ではターゲット型エキシマライト(小型高出力光線療法機)、全身型ナローバンドUVBの治療を行っています。なお、光線治療は掌蹠膿疱症以外にも、尋常性乾癬、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、白斑などにもよく効きます。
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飲み薬
塗り薬や光線療法でも難治な場合や、関節炎を伴う場合、飲み薬を検討します。
※注射の治療(グセルクマブ、リサンキズマブ)は当院では行っておりません。特に、リサンキズマブは2023年に認可された最も新しい治療法になります。希望される方は、院長が非常勤講師をしている兵庫医科大学病院などの基幹病院に紹介しております。
※光線療法や内服薬は、持病(光線過敏)や現在内服中の薬によっては行えないことがあります。
!日常での注意点
- 禁煙は、最も有効な治療です。
- 感染症(歯周病、扁桃炎、副鼻腔炎)は皮膚症状が悪化するので、風邪を引かないように注意が必要です。
- 手のひび割れがひどい患者さんは保湿剤をこまめに塗りましょう。保湿剤も皮膚科で処方できます。
- 下痢も便秘も症状を悪化させるので、バランス良い食生活を心がけてください。
- ストレスは症状を悪化させます。睡眠時間を確保するようにしましょう。
患者会
- 掌蹠膿疱症(PPP)は治療が長引く疾患であり、患者会の活動が行われています。院長の今井は、患者会(PPP community)の連携医をさせていただいております。
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執筆者:
今井康友(医学博士、皮膚科専門医、アレルギー専門医)