とびひ(伝染性膿痂疹)とは?
伝染性膿痂疹は、ばい菌が皮膚に感染したものです。乳児から小学校低学年まで、子どもの皮膚のあらゆる場所にできますが、水疱、痂皮(カサブタ)、びらんなどの病変が混在する多彩な見た目をしています。
皮膚を掻きむしると、皮膚表面の菌が皮膚の中に侵入して増殖してしまいます。ばい菌の広がる力が強いため、皮膚に病変部がどんどん広がるその様子から「とびひ」と呼ばれています。兄弟姉妹やお友達にもうつっていきます。
野田阪神駅前いまい皮フ科小児皮フ科アレルギー科では、皮膚科専門医の院長がとびひの治療を行います。院長は10年以上にわたり、兵庫医科大学医学部でとびひの講義を医学生に担当してきたこともあり、とびひは得意分野です。早く治すためにも野田阪神(福島区、此花区)で、皮膚に水ぶくれやカサブタができた方は、お気軽にご相談ください。
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とびひ(伝染性膿痂疹)は保育園や学校には行っていいの?
「学校において予防すべき感染症」に伝染性膿痂疹は含まれていませんので、画一的に登校禁止にする法律はありません。しかし、皮膚がジュクジュクしている間は接触による感染力がありますので、皮疹が乾燥するか、またはすべて服などで覆える状態になるまでは登園(登校)は控えるほうが望ましいと考えられます。
原因菌と疫学
乳幼児から小学校1年生まで、特に男の子に多いです。ほとんどが黄色ブドウ球菌というばい菌が原因です。乳幼児は鼻の中に黄色ブドウ球菌を保菌していることがあることから、鼻孔周囲にとびひの皮疹を認めることがあります。黄色ブドウ球菌が産生する表皮剥脱性毒素(exfoliative toxin)は皮膚の細胞と皮膚の細胞をバラバラにしてしまうことから、皮膚に水ぶくれやカサブタができてきます。まれにレンサ球菌による膿痴疹もあります。
細菌培養検査について
治療として抗生物質で原因のばい菌をやっつける必要があります。そこで、どのような菌なのか、また、どのような種類の抗生物質が有効なのか調べるために、当院では細菌培養検査を行っています。実際に患者さんの皮膚病変から検出された菌に数種類の抗生物質をふりかけてみて、最も効いた抗生物質を次回に投与します。この検査に数日必要なため、1回目の受診では抗生剤の選択は、どうしても経験に基づく処方になります。もし皮疹が治らない場合は、残念ながら処方した抗生剤が効かない耐性菌だったということです。2回目の受診では、どの薬に弱い菌なのか検査結果が判明しているので、適切な抗生物質の選択が可能になってきます。最近は、通常の抗生物質が効かない黄色ブドウ球菌(MRSA)による伝染性膿痂疹が増えており、細菌培養検査の重要性が増しています。
治療
とびひ(伝染性膿痂疹)の治療に使うのは抗生物質です。面積が小さい場合は塗り薬を用います。ゲンタシン、ナジフロキサシン、オゼノキサシンなどがあります。ゼビアックス油性クリームは1日1回塗るだけなので患児の負担が少ないです。一方、とびひの面積が広い場合は、のみ薬が有効です。セファレキシンやセファクロルなどの第一世代セフェム系抗生物質が基本ですが、検査の結果が通常の抗生物質が効かないタイプの黄色ブドウ球菌(MRSA)による伝染性膿痂疹が3人に1人くらいありますので、検査結果を見て有効性のある抗生物質(レボフロキサシン内服やホスミシン内服など)を投与します。なお、湿疹の二次感染はとびひではないので、湿疹の外用剤を使います。
!日常での注意点
家族内感染に注意が必要です。特に、小学校低学年までは皮膚が大人の構造ではないので、とびひの菌が簡単にうつる事があります。したがって、タオルを兄弟間で共用にしないことが非常に大切です。綺麗な洗面所にしたいということで、タオルを1枚だけにすることに強いこだわりがある方がかなりの数いらっしゃいますが、4人家族なら洗面所にタオルは4枚が理想です。
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執筆者:
今井康友(医学博士、皮膚科専門医、アレルギー専門医)