あせも(汗疹)とは?
汗が貯まって、皮膚に小さい水ぶくれ(水疱)や赤いプツプツ(丘疹)ができます。場所は毛穴には一致していません。夏の子どもの皮膚疾患として代表的なものです。
なお、夏で無くても、こどもが発熱する病気にかかった時や、解熱剤や制吐剤などの汗が増える副作用のある薬を使用した場合にも、あせもができることがあります。
野田阪神駅前いまい皮フ科小児皮フ科アレルギー科では、皮膚科専門医・アレルギー専門医の院長が、あせも(汗疹)や汗による皮膚トラブルの治療を行います。野田阪神(福島区、此花区)でお子さんの汗トラブルにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
分類
1
水晶様汗疹
汗が角質の浅い部分で詰まり、小さな破れやすい水疱が多発するもので、新生児に多いです。大きさも1mm程度の、非常に綺麗な透明な、水滴のような水疱で、まったく赤くないのがポイントです。痒みもありません。皮膚科に来なくても大丈夫で、汗をかきすぎなければ、数日で消えます。
2
紅色汗疹
汗を出す管(汗管)が汚れやホコリのために皮膚の中で詰まり、炎症が起こっている状態です。赤みを伴った丘疹が散在し、炎症が強く、そう痒や刺激感があります。体幹や四肢屈側によくできます。こちらの赤みを伴った汗疹(あせも)は皮膚科を受診してください。
3
汗腺膿瘍
あせものより
汗腺の化膿性炎症です。あせもが長引いたり、治療の開始が遅かったせいで、顔、くび、胸などに丘疹ができ、膿瘍になっていきます。つまり、あせも(汗疹)に、ばい菌がついて感染症になった状態で、痛みを伴うことがあります。膿が中にたまってしまっている場合は、やむを得ず切開して中の膿を出すこともあります。
なお、「化膿性汗腺炎」は無菌性の膿が特徴であって、ばい菌の膿が貯まる「汗腺膿瘍」とはまったく違う病気です。基本的に小児には発症しません。似たような病名ですが、誤解の無いようにお願いします。
当院における治療
- 環境の温度をエアコンなどで適切に保って、汗をかきすぎないようにします。一時期、エアコンを使わないことを信条とする某施設で汗疹が多発してしまい、保健所が指導に乗り出す騒ぎとなったことがありましたが、現代の大阪ではエアコンなしで夏を乗り切るのは不可能だと思います。
- 紅色汗疹や汗による湿疹が生じていた場合では、濃度の薄いステロイド外用薬を使用します。
- ばい菌による感染症である汗腺膿瘍(あせものより)になっている場合は、抗生物質の塗り薬または飲み薬で治療することになります。
原因
こどもはなぜ汗かきなのでしょうか?
汗は体温調節に重要なので、汗そのものが悪者ではありません。こどもは、体重あたりの体の面積(体表面積)が大人よりも大きいので、他の物質の放射する熱を吸収しやすく、不感蒸泄(ふかんじょうせつ)※による熱の放射量も多いことになります。例えばベビーカーの高さが低いと、真夏のアスファルトからの熱の影響を受けやすく、大量の汗をかくことになります。こどもは汗の量の変動が大人よりも激しいため、汗による皮膚炎トラブルが多くなります。さらに、汗を出す汗腺の総数は大人も子どもも同じであるため、汗腺の密度が新生児では大人の12倍、1歳児では8倍と考えられ、汗を出す能力が高すぎるために汗トラブルも多くなるのです。
※不感蒸泄(ふかんじょうせつ):呼吸した際に排出される水分や皮膚から蒸発する水分など、日常生活において自然に失われる水分のこと
!日常での注意点
乳児であっても、夏はエアコンをしっかり使って、あせもができないように予防することが必要です。お出かけをして汗をかいたら、汗をかきっぱなしにせず、すぐにシャワーで洗い流すか、または市販の汗ふきシートや濡れタオルでふきとってあげましょう。清潔を心がけることが大切です。シャワーをしすぎて乾燥肌になってしまわないよう、シャワー後は保湿剤を塗ってあげましょう。
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執筆者:
今井康友(医学博士、皮膚科専門医、アレルギー専門医)