乳児湿疹とは?
こどもは、まだ皮膚が発達途上なので様々な原因で湿疹ができます。乳児湿疹は、乳児に生じる様々な皮膚炎の総称です。
特に乳児の皮膚は薄いため、体液が外に染み出してジュクジュクした湿疹になりやすいです。乳児湿疹がいつまで続くのかという質問が多いですが、生後2週から12週くらいまで続きます。
野田阪神駅前いまい皮フ科小児皮フ科アレルギー科では、皮膚科専門医かつアレルギー専門医で、小児皮膚科学会において2023年度学会プログラム委員を務めた院長が乳児湿疹の治療を行います。野田阪神(福島区、此花区)でお子さんの乳児湿疹にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
乳児湿疹の分類
1
乳児脂漏性皮膚炎
生後2〜8週に多く、カサブタの付いた皮膚炎が頭、顔、くび、脇の下、おむつの中などに出てきます。皮膚の脂(皮脂)が多すぎるので生じる皮膚炎になります。間違って保湿剤を塗られたり、石けんを中止したりすると皮膚炎は悪化します。
2
乳児の
アトピー性皮膚炎
生後8〜12週以降になると皮脂が減ってきて、むしろ乾燥肌になり、今度は乾燥によって生じる皮膚炎になります。しかし、皮疹の見た目は乾燥ではなくしっとりしており、顔のほっぺたから耳だけに留まらず、首から肩、体、四肢にジュクジュクした湿疹ができて、痒いのでかきむしっている場合が多いです。耳切れや皮膚炎が分厚くなる(苔癬化と呼びます)といった、乳児脂漏性皮膚炎では見られない症状が出てきます。一方、幼児のアトピー性皮膚炎は乳児と症状がまったく異なり、1歳以上になるとジュクジュクした湿疹から乾燥した湿疹に変わってきます。肘窩(※1)、膝窩(※2)、くび、おしりなどに、粉を吹いたような湿疹ができます。
- (※1)肘窩:肘の反対側、腕の内側のくぼみ
- (※2)膝窩:膝の反対側、膝の内側のくぼみ
以上のように、乳児湿疹には皮脂が多すぎる皮膚炎と、少なすぎる皮膚炎があるため、皮膚科専門医への相談がお勧めです。皮膚科に行く時間がない方は、乳児湿疹を疑った場合、とりあえず湿疹を石けんで良く洗う、その後にお手持ちの保湿剤を塗る、といったような対応が考えられますが、2−3日で改善しなければ、やはり皮膚科の受診が望ましいと思います。
当院における治療
-
乳児脂漏性皮膚炎
過剰な脂を落としてあげるようなスキンケアを行います。毎日入浴し、皮膚炎のある部分も石けんでよく洗ってあげてください。入浴後は処方した外用薬を塗布します。治療の反応は良好なことが多いです。保湿は大切なことですが、間違って脂漏性皮膚炎を保湿しすぎると悪化するので注意が必要です。
-
乳児の
アトピー性皮膚炎皮膚炎がある部位は、炎症をおさえる薬を使います。湿疹が長く続くとアレルギーマーチと言って、喘息や食物アレルギーなど、別のアレルギー疾患の原因になるので、早期の治療が大切です。なお、タクロリムス軟膏0.03%小児用とデルゴシチニブ軟膏(生後6ヶ月~)、ジファミラスト軟膏(生後3ヶ月~)といった、ステロイド以外の外用薬も保険適用になっています。ステロイド外用剤をたくさん塗っても長期に皮疹が続く場合は、小児にも注射薬であるデュピクセント(生後6カ月以上)・ミチーガ(6歳以上)が保険適用です。原因の一つは乾燥肌ですから、皮膚炎が治った部位や皮膚炎が無い部分も保湿剤を塗って、乾燥肌を改善することで新しい皮膚炎の再発を予防するのが大切です。保湿剤は保険で処方することができます。
!日常での注意点
汗やホコリも湿疹の原因になりますので、清潔にすることと保湿をすることの両立が大切です。つまり、汚れはシャンプーや石けんで、しっかり洗ってあげてください。その上で入浴直後に、乾燥肌の場合は保湿剤をたっぷり塗布していきます。乾燥肌のページもご覧ください。
関連する症状の皮膚病一覧
執筆者:
今井康友(医学博士、皮膚科専門医、アレルギー専門医)