医学論文が掲載されるまでのプロセスとは?
 
院長の今井です。今日の雑談ですが、院長は論文の投稿以外にも査読もやっています、という話です。有名な医学雑誌に論文を投稿しようとしても、その論文が医学雑誌に掲載するに値するのかどうかを精査するプロセスがちゃんとあって、これを「査読」と呼びます。院長の今井は開業後も様々な雑誌にアトピー性皮膚炎などの医学論文が掲載されてきた業績がありますが、これは論文の査読を突破して掲載されたものになります。では、その査読は誰がやっているのでしょうか? 実は、お互いにやっている、というのが答えになります。
 
 
査読の仕組みとは?
院長も開業してからしばらくThe Journal of Dermatologyという国際英文雑誌の編集委員をやっており、私の場合126本の論文を扱いましたが、投稿された沢山の論文のすべてを専門的に判断するのは大変なので、編集委員は論文を精査する査読者を数名、その道のエキスパートから選んで意見を募ります。選ばれた査読者は論文がその雑誌に掲載するに値するだけの新規性があるのか、内容は正しいのか、総合的に判断して、論文を受理するのか、研究内容の追加を要求したり修正を要求するのか、却下するのかを編集委員に意見します。編集委員は、複数の査読者の意見をもとに、論文を掲載するのか却下するのか判断していきます。
 
 
 
 
査読を依頼される医師とは
ということで、論文の査読でも医学に貢献するように努めております。開業後も様々な雑誌からの査読依頼があります。ただ、申し訳ないことに、学会前などで、複数の雑誌の査読が重なった場合は断ることが多いのですが、ちゃんとインパクトファクターがある雑誌からの論文査読依頼は、できるだけ受けるようにしています。写真は、Journal of Allergy and Clinical Immunology (JACI)というアレルギー分野での1流英文雑誌からの査読依頼の操作画面です。20件終了と表示されていますが、現在では査読のシステムもネット化されています。開業医でJACIの査読依頼が来る医師は、さすがに珍しいと思います。
 
 
 
国際英語論文の査読依頼があるということは、ほかの医者から、この人はこの依頼した論文の分野に関して最先端の知識があるだろう、つまり、論文に書いてある領域について、何が既知で何が未発見のままなのか理解しているであろう、と思われていることに他なりません。
医学に関して、数年前から、日本語ではインターネット上ではフェイクニュースばかりが目立ち、英文でしか正しい情報が手に入らなくなっている気がします。ところが、最近は若くして開業する先生が増えたので、英語論文を理解する力、つまり論文査読の経験のないまま開業してしまう・・・ということが散見されます。そうすると、日本語で提供される製薬会社の言いなりの処方になってしまいかねません。そうならないように、私が木曜日に診察と後輩の指導に行かせていただいている兵庫医大では、若い先生に、英語論文を読む大切さも伝えるようにしています。