このコラムは、今の皮膚科で治らないため、遠方から当院の受診(病院・クリニックの変更)を検討されている方へ向けて執筆されております。
当院は、近隣の方に気軽に来ていただける皮膚科、地域の皆様から信頼される皮膚科を目指し、常に最新の知識になるようにアップデートを心がけております。
新規開業をいたしますと、他院の皮膚科を受診しても治らない・・・という皮膚疾患の患者様が来院されることがあります。たしかに、皮膚科を標榜しているだけのいわゆる「内科・皮膚科」の先生の御処方で、たしかにこれでは治らないな、と思うこともあります。しかし、そこが皮膚科専門医の資格を持った医師のクリニック(小児科であれば、アレルギー専門医の資格を持った小児科医のクリニック)であれば、当院でも治療はあまり変わらないはずなのです(逆に言うと、変わったらおかしいです・・・)。実は現在、ほとんどの皮膚科疾患で療養指導や治療方針はすでに皮膚科学会主導で標準化(ガイドライン制定)されております。例えば、アトピー性皮膚炎などの種々の皮膚疾患は適切な濃度のステロイド外用薬が治療の基本であると定められており、当院では適切なステロイド外用剤を使用した標準療法(=最も良いというエビデンスの確立されている治療)を行っています。
うまく治らない原因は、主に2つあるような気がします。
1)疾患そのものが難治である。
一部の重症のアトピー性皮膚炎や乾癬など、患者様のほうで努力のやりようがない場合もあります。ただし、近年は生物学的製剤という強力な薬剤が登場してきました(詳しくはこちら)。
2)患者様が療養指導内容を守りたくないので転医を希望している場合。
自分の話(要望・願望・簡単に塗るだけで完治したい等)は聞いてほしいが、医師の指導は聞きたくない、いうタイプの患者さんは、運動は嫌いだし食べたいけど、痩せる薬が欲しい!と医師に主張しているのと同じで、自分の行動改善(疾患の原因除去)はできていないわけですから、当院に病院を変更しても、あまり意味がありません。残念ながら、そのような患者さんは、ゆっくり話は聞いてくれるが効果はない、かつ非常に高額な、自費診療やエステに行ってしまいがちですから注意が必要になります。精神科やエステのように長時間患者様とお話するのは、皮膚科の保険診療では現状では難しいこと、保険診療では患者様の希望(現状の生活習慣は変えたくない等)を細かくお伺いしてもほぼそのご希望にはお応えできないことが多いことから、限られた診察時間を、私は、療養指導に当てたいと考えています。
当院は保険診療を主に行う皮膚科クリニックです。保険診療では、どの疾患に何をどれくらい処方できるのか厳密にルールが決まっております。したがって、他のクリニックと当院で特別何か処方が違う、ということはありえません(あってはいけません)。むしろ、標準治療から外れないように、また、古い治療のままにならないよう、最新のガイドラインに従った治療になるのかに気をつかって診療している、アップデートを気にしているというクリニックとなります。したがって、皮膚科を変えても、そこが皮膚科専門医資格のある皮膚科なのであれば、おそらく当院でも治療薬は同じになるはずなのです。そこで、安易に皮膚科を当院に変更する前に、今一度、現在通院中のクリニックの先生とじっくり時間をかけて相談されることをお勧めいたします。また、最近、大阪市外からの患者様も急増しておりますが、薬の調節のこともあり、皮膚科はこまめに再診する必要がある科であるため、頻繁に通院できない場合は治療が難しい疾患が多いことを、ご理解いただきますよう、お願いします。
前回の、他院から当院に変えても意味がないのか?という話はこちらをご覧ください。