日本語のネット空間にはAIが自動生成した低品質なアフィリエイト記事が散見されます。内容が正しいならいいのですが、酒さ様皮膚炎・掌蹠膿疱症に関してはほぼ全部間違いな記事になっています。なお酒さ様皮膚炎・掌蹠膿疱症でAIに聞いても不適切な答えになります。このブログでは、これがなぜか??を解説します。

(AIは欧米人の治療論文を学習している) 大規模言語モデルであるGeminiやChatGPTは、ほぼ英語で学習してモデルです。日本語で質問して日本語で答えが返ってくるので勘違いしそうですが、内部的には英語なのです。英語の権威的な雑誌の欧米人の治療データの医療文献をエビデンスが高いもの(噂ではなく正しい権威的な治療)として学習しています。したがって、欧米人と日本人で大きく異なる疾患では、まったく不適切な回答になることが多いです。

(日本人と欧米人で治療が異なる疾患や、日本人独特の疾患がある)皮膚科は人種によって大きく治療が異なる診療科目です。日本人は肌のバリア機能が欧米人より弱いです。欧米人は肌が強すぎて「バリア破壊するための導入化粧水」などを先に塗らないと化粧品の有効成分が皮膚に入りにくいくらいの頑強な皮膚ですが、日本人は肌が弱いのでステロイド酒さなどはなりやすいと考えられます。

 

疾患概念の違い:そもそも日本人に多い掌蹠膿疱症という疾患概念(診断名)が欧米には基本的にはありません。類似概念を探すと、欧米では手足に限局した膿疱性乾癬という扱いになります。そのためAIに聞くと、誤って乾癬の治療が提案されることが多いです。

 

日本人と欧米人で異なった挙動を示す疾患:(ステロイド外用剤誘発の)酒さ様皮膚炎(※酒さとはやや異なる疾患です)

欧米人の皮膚はブ厚く、酒さは遺伝的素因の割合が多いです。酒さ様皮膚炎はステロイド中止(ときにメトロニダゾール外用等)ですぐに改善すると教科書や論文に書いてあります。しかし、日本人はそうではありません(※日本人でも乳児は比較的治りやすい)。つまり簡単に治ります。
 
日本人はバリア機能が弱いので、ステロイド外用剤などの急な中止によるステロイド離脱症状が長期に及んで再発も多いです。したがって、ステロイドなどの外用薬は漸減する必要があります。また、酒さ様皮膚炎、酒さ、脂漏性皮膚炎、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、花粉皮膚炎の併発が多く、複数の疾患が顔面に同時に出現することが多いです。この場合は逆にステロイド外用剤が必要な部位も出てきます。つまり、欧米の教科書の通りにステロイド外用剤誘発性の酒さ様皮膚炎の治療をすると、顔面全体が膿疱だらけになって急性増悪することが多いです。
 
ということで、AIは「ステロイドをやめればすぐ治るのでステロイドすぐ中止!」という欧米の治療を学習しており、日本人の「リバウンドによる年単位の難治化傾向」は聞いても出てこないのです。
 
 
なお一方で、日本人と欧米人で差が無い疾患は、AIの答えはしっかりしている気がしています。
 
 
文責:いまい皮膚科院長 今井康友(皮膚科専門医・アレルギー専門医)
※この文章は人間が書いています。