手指の爪甲剥離症の治療においてステロイド外用剤が有効であることがあります。写真は、ベタメタゾン吉草酸エステルローションを外用することで爪甲剥離が改善した当院の症例です(それぞれ治療前、外用1年後の写真)。爪周囲の皮膚炎や湿疹に起因する剥離では、湿疹の治療をすればいいわけですから、ステロイド外用が有効です。
ただし、爪の剥離や変形の原因は多彩です。真菌感染症で生じることも多く、真菌感染の有無は顕微鏡検査や抗原検査(イムノクロマト法)が保険適用です。真菌感染症の場合は、治療は抗真菌剤の内服が基本です。貧血や甲状腺機能異常が原因のこともあるため、血液検査(採血)が必要です。ジェルネイル等の付け爪やワイヤー矯正が保険適用ではないため、爪は保険診療が効かない治療が多くネイルサロンで処置されているのが日本の現状ですが、上記のように鑑別疾患が多数あり、真菌感染の検査や血液検査は医療機関でしか行えないため、皮膚科専門医の受診が望まれます。
<炎症性の爪甲剥離症(=真菌感染症ではない爪甲剥離症)の生活上の注意>
爪は切って良い
剥離は刺激で起こります。白い部分(浮いている部分)は切ってしまったほうが刺激になりません。爪がものにひっかかる刺激で剥離が進むので、爪は短くするか、作業時には手袋で保護するのが望ましいです。触ってほしくないわけです。保湿
爪や周囲の皮膚を保湿することで、健全な爪が生えることを期待します。保湿剤は保険適用です。